コラム

不動産売却を有利にする準備|レントロール整備・賃貸借契約の見直しリスト

不動産売却を有利にする準備|レントロール整備・賃貸借契約の見直しリスト

広島市で収益物件の売却をお考えのオーナー様へ。不動産売却、特にオーナーチェンジ物件の売却では、「なんとなく」進めてしまうと買い手からの評価が下がり、売却価格が想定より安くなってしまうことがあります。実は、売却を有利に進めるためには、事前の準備が鍵を握るのです。

中でも、入居状況や収支を一覧にした「レントロール」の整備と、現行の「賃貸借契約」の内容見直しは、買い手に安心感を与え、物件価値を正当に評価してもらうために欠かせない項目です。株式会社ASULANDでは、広島市での不動産売却を数多くサポートしてきた経験から、この準備の重要性を実感しています。

この記事では、収益物件の売却を成功させるためにオーナーが押さえておくべき準備事項を、チェックリスト形式で分かりやすく解説します。しっかりとした準備が、適正価格での売却、そしてスムーズな取引につながります。

なぜ売却前の「レントロール整備」と「賃貸借契約見直し」が重要なのか?

結論から言えば、買い手が最も重視するのは物件の収益性です。その判断材料となるレントロールと賃貸借契約書が不透明だと、買い手はリスクと捉え、価格交渉で不利になってしまいます。

買い手目線で考える重要性

理由は明確です。買い手は購入後の収益を予測するために、現在の入居状況、家賃設定、契約条件を詳細に確認します。ここで情報が不足していたり、曖昧だったりすると、「この物件は将来的にどれくらいの収益が見込めるのか」という疑問が生まれます。疑問は不安に変わり、不安は価格の値下げ要求につながるのです。

具体的なリスクの例

·         レントロールに空室の想定賃料が記載されていない場合:買い手は「この空室はすぐに埋まるのか」「家賃はいくらで設定できるのか」と不安になります

·         賃貸借契約に特殊な特約が多数含まれている場合:「管理が面倒そう」「リスクが高い」と判断される可能性があります

準備がもたらすメリット

適正な賃料設定や契約内容の明確化により、買い手は将来的な収益を予測しやすくなり、適正な価格、あるいはそれ以上の評価につながります。さらに、情報が整理されていることで、買い手の検討期間が短縮され、売却プロセス全体がスムーズに進みます。

ポイント
買い手の立場で考えることが重要です。レントロールと賃貸借契約が整備されていることは、物件に対する信頼性を高め、オーナーの管理能力を示す証明にもなります。これにより、買い手は安心して購入を検討でき、結果的に売却が有利に進むのです。

徹底解説!売却を有利にするための「レントロール整備チェックリスト」

レントロールは、物件の収益性を一目で把握できる重要な資料です。買い手がレントロールを見て最初に確認するのは「この情報は正確か」「この物件は本当に収益を生むのか」という点。不備があると、それだけで信頼性が損なわれてしまいます。

ここでは、売却前に必ず確認すべき5つの項目をチェックリスト形式でご紹介します。

✅ 項目①:基本情報の正確性

確認ポイント
- 部屋番号、階数、間取り、専有面積は最新かつ正確か
- 入居者情報(入居日、家賃、共益費、敷金・保証金)は正しいか

まず確認すべきは、基本情報が最新かつ正確であることです。たとえば、リフォームで間取りが変更されているのに古い情報のままだと、買い手は「管理が杜撰だ」と感じてしまいます。

✅ 項目②:家賃設定の適正化

確認ポイント
- 周辺相場と比べて、現在の家賃設定は妥当か
- 空室がある場合、想定賃料は現実的な水準か

家賃設定が周辺相場と比べて妥当かどうかは非常に重要です。相場より高すぎる家賃は将来的な退去リスクを懸念されますし、逆に安すぎると「なぜこの家賃なのか」と疑問を持たれます。周辺の類似物件の家賃を調査し、適正な水準に設定することで、買い手に収益の安定性をアピールできます。

相場根拠は「具体的な比較事例」で示すことが重要です(築年数・最寄り駅・専有面積・改装有無など)。調査に使った募集図面やポータルサイトの保存(スクリーンショット)を添付すると、想定賃料の説得力が増します。

✅ 項目③:入居状況の明確化

確認ポイント
- 空室や滞納の有無は明確に記載されているか
- 滞納がある場合、回収状況は記録されているか

特に滞納がある場合、回収状況や対応履歴を記録しておくことが重要です。「滞納があるが、現在は分割返済中で計画通り進んでいる」といった情報があれば、買い手の不安を軽減できます。逆に、情報を隠してしまうと後々トラブルになる可能性があります。

✅ 項目④:契約状況の整理

確認ポイント
- 契約期間、更新日、契約形態(普通借家、定期借家など)を一覧にまとめているか
- 特約事項はすべて反映されているか

特約事項がすべて反映されているかも確認が必要です。たとえば、「ペット飼育可」「駐車場付き」といった特約は、物件の魅力にもなりますが、記載漏れがあると正確な評価ができません。

✅ 項目⑤:修繕履歴の追加

確認ポイント
- 過去の大規模修繕や設備交換履歴を追記しているか

レントロールに過去の大規模修繕や設備交換履歴を追記することで、物件の資産価値をアピールできます。「3年前に外壁塗装済み」「昨年エアコン全室交換」といった情報は、買い手にとって物件の維持管理状況を判断する重要な材料です。修繕が適切に行われている物件は、長期的な収益性が高いと評価されます。

修繕履歴はレントロールへ「追記」でもよいですが、「修繕履歴台帳(工事項目・時期・金額・業者・保証)」として別資料に分けると、デューデリジェンスで閲覧性が上がります。

ポイント
レントロールは単なる一覧表ではなく、物件の魅力を伝える営業資料と考えてください。情報が正確で詳細であればあるほど、買い手の信頼を獲得でき、適正な価格での売却が可能になります。不明な点がある場合は、管理会社に確認するなどして、できる限り完璧な状態に整えましょう。

 

買い手に安心感を与える「賃貸借契約見直しチェックリスト」

賃貸借契約の内容が整理されていると、買い手は管理リスクを把握しやすくなります。契約内容が部屋ごとにバラバラだったり、特殊な特約が含まれていたりすると、買い手は「引き継ぎ後の管理が大変そう」と感じてしまうからです。統一感のある契約内容は、スムーズな物件運営を予感させ、買い手の安心感につながります。

ここでは、売却前に確認すべき5つのポイントをご紹介します。

✅ 項目①:家賃改定の可能性

確認ポイント
- 家賃が長期間据え置かれていないか
- 周辺相場に見合った賃料になっているか

家賃が長期間据え置かれている場合、周辺相場に見合った賃料への改定を検討しましょう。特に、入居から5年以上経過している部屋は、相場より低い家賃になっているケースが多く見られます。改定が難しい場合は、その理由(長期入居者への配慮、契約上の制約など)を買い手に説明できるようにしておくことが重要です。

✅ 項目②:契約内容の統一性

確認ポイント
- 部屋ごとに異なる契約内容がないか
- 管理しやすい統一された条件になっているか

部屋ごとに異なる契約内容があると、管理の手間が増えます。可能な範囲で契約条件を統一し、買い手が引き継ぎやすい状態にしておくことが望ましいです。たとえば、更新料の有無、礼金の設定、契約期間などが部屋ごとにバラバラだと、管理が煩雑になります。

✅ 項目③:特約事項の確認

確認ポイント
- 買主にとって不利になるような特約がないか
- 特約内容を買い手に説明できる準備ができているか

ペット飼育許可、特別な原状回復義務、家賃減額の約束などは、買い手にとってリスク要因となります。もちろん、これらの特約が物件の魅力につながる場合もありますが、買い手に事前に開示し、理解を得ることが大切です。

特約は契約自由が前提ですが、内容次第で無効・制限される場合があります。買主に不利と見える特約(過度な原状回復負担等)は、根拠と運用実績を添えて説明できるように整理しておきましょう。

✅ 項目④:保証会社の利用状況

確認ポイント
- すべての入居者が保証会社を利用しているか
- 未加入の入居者への対応策はあるか

保証会社の利用は一般的な滞納リスク軽減策ですが、法的義務ではありません。保証会社は賃料立替によりオーナーのキャッシュフロー安定に寄与しますが、加入義務は法定ではなく、契約運用上の要件です。未加入の入居者がいる場合は、更新時に加入を提案する等の運用方針を添えて開示すると、買い手の安心材料になります。

出典
賃貸保証会社(家賃保証会社)とは?仕組みとメリット、デメリット|URくらしのカレッジ
https://www.ur-net.go.jp/chintai/college/201909/000400.html

✅ 項目⑤:解約条項の整理

確認ポイント
- 契約解除時の通知期間や条件は明確か
- 引き継ぎ時に混乱が生じないよう整理されているか

契約解除時の通知期間や条件を明確にし、引き継ぎがスムーズに行えるようにしましょう。「解約予告は1ヶ月前」「違約金の設定」など、解約に関するルールが明確だと、買い手は物件運営の見通しを立てやすくなります。

解約予告期間は「1か月」が相場の一つですが、契約で異なる定めがあるケースもあります。更新料の有効性は最高裁判例(2011年7月15日)で一定条件下の有効性が示されています。また定期借家は原則「期間満了で終了」となり、中途解約は限定場面(居住用の一定要件など)または契約条項の定めによります。物件ごとの契約書記載に従い、条項・判例の位置づけを注記して開示しましょう。

出典
更新料に関する最高裁判決|公益社団法人 全日本不動産協会
https://www.zennichi.or.jp/law_faq/更新料に関する最高裁判決/

定期借家契約は中途解約できる?|セゾンのくらし大研究
https://life.saisoncard.co.jp/property/post/b3-26/

✓ポイント
賃貸借契約の見直しは、買い手への配慮だけでなく、オーナー自身が物件の現状を正確に把握する機会にもなります。契約内容を整理することで、売却時のトラブルを未然に防ぎ、円滑な引き継ぎが実現します。

レントロールと賃貸借契約を見直した後のステップ

資料の整備が完了したら、次は実際の売却活動に向けた準備です。ここでは、売却を成功させるための3つのステップをご紹介します。

📌 ステップ①:信頼できる不動産会社選び

収益物件の売買に強く、的確なアドバイスをくれる不動産会社を選びましょう。特に、オーナーチェンジ物件の取引実績が豊富な会社は、買い手のニーズを理解しており、効果的な販売戦略を提案してくれます。複数の会社と面談し、対応の丁寧さや専門知識の深さを比較することが大切です。

📌 ステップ②:物件の価値を高める

可能な範囲で内装のリフォームや設備の更新を行い、物件の魅力を高めましょう。大規模な改修は不要ですが、共用部の清掃、照明のLED化、古くなった設備の交換など、少額の投資で見栄えが大きく改善する施策は効果的です。第一印象が良い物件は、買い手の購買意欲を高めます。

📌 ステップ③:正確な査定依頼

整備した資料をもとに、複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な売却価格を探りましょう。レントロールと賃貸借契約が整っていれば、不動産会社も正確な査定ができ、適正価格を提示してくれます。査定額だけでなく、その根拠や販売戦略についても詳しく聞き、納得できる会社を選ぶことが重要です。

ポイント
資料の整備は売却の第一歩に過ぎません。信頼できるパートナーを見つけ、物件の魅力を最大限に引き出す努力を続けることで、満足のいく売却が実現します。

まとめ:万全の準備が「有利な売却」を実現する

不動産売却は、事前の準備によって結果が大きく左右されます。レントロールと賃貸借契約の見直しは、買い手への説得力を高め、物件の潜在的な価値を最大限に引き出すための重要な作業です。

広島市で収益物件の売却をお考えの方は、まずこの記事のチェックリストを活用し、万全の体制で売却に臨みましょう。株式会社ASULANDは、広島の不動産売却・投資をサポートする専門家として、オーナー様の売却成功を全力でサポートいたします。

適切な準備と信頼できるパートナーがあれば、満足のいく価格でスムーズな売却が実現します。ぜひ、今日から準備を始めてみてください。

監修者情報 監修者情報 株式会社ASULAND
代表取締役 伊茂治 直毅
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