コラム

ペット可物件は収益性が高い?空室率・賃料・修繕費で検証

ペット可物件は収益性が高い?空室率・賃料・修繕費で検証

ペットと暮らす人が増えている現代において、「ペット可」物件は魅力的な投資対象として注目を集めています。しかし、ペット可にすることが本当に収益性の向上につながるのか、投資家としては慎重な検証が必要です。

広島市で不動産投資をお考えの方にとって、ペット可物件は競合との差別化を図る有力な選択肢となり得ます。一方で、設備の損傷リスクや修繕費の増加といった懸念も存在します。株式会社ASULANDでは、投資家の皆様が確かなデータに基づいた判断ができるよう、ペット可物件の収益性を「空室率」「賃料」「修繕費」という3つの重要指標から徹底検証します。本記事では、実際のデータやシミュレーションを用いて、ペット可物件の真の収益性を明らかにします。

ペット可物件を取り巻く市場環境と収益性の基本

ペット可物件の収益性を検証する前に、まず市場環境と収益性の基本的な考え方を理解する必要があります。ペット飼育世帯は年々増加しており、賃貸ニーズも確実に高まっているというのが現状です。

ペット飼育の現状と市場ニーズ

一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2024年の国内ペット飼育頭数は犬約679.6万頭、猫約915.5万頭、合計約1,595万頭となっており、多くの世帯でペットが家族の一員として暮らしています。しかし、賃貸物件においてペット可物件の供給割合は約2割未満(19.3%)にとどまっており、需要と供給のギャップが大きい市場といえます。

ペット飼育者にとって「ペット可」という条件は妥協できない必須条件であり、この供給不足が投資家にとって有利な市場環境を生み出しています。

ペット可物件の基本的なメリット・デメリット

ペット可物件には以下のような特徴があります。

【メリット】 - 競合物件との明確な差別化が可能 - ペット飼育希望者という限定された高需要層を獲得できる - 入居者の長期定着率が高い傾向 - 追加敷金や特約により収益を上乗せできる可能性

【デメリット】 - 壁や床などの設備損傷リスクが高まる - 原状回復費用が通常より高額になる可能性 - 入居者層が限定され、空室時の選択肢が狭まる懸念 - 近隣住民からの苦情(鳴き声、臭い等)のリスク

収益性の正しい評価方法

投資判断における「収益性」は、単なる家賃収入の多寡だけでは測れません。総合的な視点での評価が不可欠です。

家賃収入:月額賃料 × 稼働率
運営コスト:管理費、修繕費、空室期間の損失
初期投資:ペット対応設備の導入費用
リスク要因:入居者トラブル、原状回復の予測

これらすべてを考慮した上で、ペット不可物件と比較した際の実質的な収益性を判断する必要があります。

✓ポイント:ペット可物件の収益性評価では、家賃増収だけでなく、修繕費増加や空室リスクの変化まで含めた総合的な分析が重要です。市場ニーズは高いものの、適切な管理体制がなければメリットを活かしきれません。

参考:令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査 主要指標サマリー|一般社団法人ペットフード協会

 

空室率の検証:需要は供給を上回るか

ペット可物件の最大の魅力は、空室率の低下と入居期間の長期化にあります。ペット飼育可能な物件が限られているため、需要に対して供給が追いついていない状況が、投資家にとって有利に働く可能性があります。

ペット可物件の空室率は低い傾向

不動産業界の調査データによると、ペット可物件は一般的な物件と比較して成約までの期間が短く、稼働率が高い傾向にあります。

【成約スピードの違い】 - LIFULL HOME’Sの調査では、ペット可物件の掲載期間が平均で16.6日短いという結果が報告されています - これは、ペット可物件が「決まりやすい」=入居者確保の優位性を示唆する重要な指標です - ※空室率そのものを直接比較した公的統計は限定的ですが、掲載期間の短さは稼働改善の近似指標となります

この差が生まれる理由は明確です。ペット飼育者にとって、「ペット可」という条件は妥協できない絶対条件となります。そのため、条件に合う物件が見つかれば、多少家賃が高くても入居を決める傾向があります。供給が限られている中で需要が集中するため、成約スピードが速くなるのです。

長期入居の傾向

ペット可物件の特徴として、入居期間が長期化しやすいという実務的な観測があります。ただし、平均入居年数の差を示す公的統計は現時点では確認できていないため、傾向として理解することが重要です。

【長期入居が期待される背景】 - ペットとの引っ越しは物理的・精神的負担が大きい - 新たなペット可物件を探す手間とコストがかかる - ペットが環境に慣れているため、住み替えを避ける心理が働く - 供給が限られているため、一度入居すると他への転居が困難

長期入居の傾向は、投資家にとって複数のメリットをもたらします。入居者募集コスト(広告費、仲介手数料)の削減、空室期間の短縮、そして安定した家賃収入の確保です。掲載期間の短さと合わせて考えると、ペット可物件は入居者の確保から定着までのサイクル全体で優位性を持つ可能性が高いといえます。

競争優位性と差別化効果

ペット可物件は、周辺の競合物件に対して明確な差別化要因となります。

【差別化の効果】 - 同一エリア内でペット可物件が少ない場合、独自性が高まる - 入居検討者の選択肢が限られるため、価格競争に巻き込まれにくい - 繁忙期・閑散期を問わず、一定の需要が見込める - オーナーチェンジ時も「ペット可」が付加価値として評価される

ただし、周辺にペット可物件が増加すると、この優位性は低下します。エリアの競合状況を定期的に把握し、必要に応じて設備やサービスの充実を図ることが重要です。

✓ポイント:ペット可物件は成約までの期間が短く、入居期間が長期化しやすい傾向があり、安定した稼働率を実現しやすいといえます。特に競合物件が少ないエリアでは、この効果が顕著に表れます。ただし、エリアの供給状況を継続的にモニタリングすることが成功の鍵です。

参考: LIFULL HOME’S がペットとの住まい探しの実態調査を発表!ペット可物件のニーズを不動産会社は実感しつつも、物件数は全体の2割に届かず。|株式会社LIFULL

 

賃料の検証:ペット飼育による家賃設定の影響

ペット可物件では、家賃や敷金・礼金の設定において追加収益を得られる可能性があります。一方で、市場相場との乖離が大きすぎると入居者確保が困難になるため、適切なバランスが求められます。

家賃設定の現状

ペット可物件の家賃設定は、地域や物件グレードによって異なりますが、実務では様々なアプローチが見られます。

【家賃設定の実態】 - LIFULL HOME’Sの調査では、ペット可物件の平均賃料はペット不可物件より高く、かつ掲載期間は短く成約が早いという結果が報告されています - 家賃を大きく上乗せするケースもあれば、据え置きで敷金・礼金で調整するケースもあります - 市場相場との均衡を保ちながら、差別化による付加価値を適切に価格転嫁することが重要です

多くのオーナーは、家賃そのものよりも敷金・礼金での調整を選択しています。これは、毎月の負担増による入居者の敬遠を避けつつ、リスクヘッジを図る現実的な戦略といえます。また、SUUMOの掲載データでは、「ペット相談可」物件の掲載比率が2019年から2024年にかけて18%まで増加しており、中長期的な供給増加傾向も確認されています。

敷金・礼金の設定

ペット可物件において、敷金の追加設定は一般的な実務となっています。

【敷金設定の実例】 - 通常物件:敷金1〜2ヶ月分 - ペット可物件:敷金2〜3ヶ月分(ペット飼育分として1ヶ月分追加) - 特約設定:退去時のクリーニング費用として一部償却の定め

【追加敷金の効果】 - 原状回復費用の確実な確保 - 入居者の責任意識の向上 - トラブル時の対応余地の確保

ただし、敷金の過度な設定は入居希望者を減少させる可能性があります。エリアの相場を調査し、競合物件と大きく乖離しない範囲での設定が賢明です。

付加価値設備と入居者属性

ペット飼育者向けの付加価値設備を導入することで、家賃の上乗せを正当化できる場合があります。

【付加価値設備の例】 - 共用部のドッグラン(戸建て・低層マンション) - エントランスのペット足洗い場 - ペット対応の防音・防臭床材 - 専用ゴミ箱の設置

これらの設備は初期投資が必要ですが、競合物件との差別化と家賃設定の根拠となります。特にペット愛好家層は、ペットの生活環境向上に対する支払い意欲が高い傾向があり、適切な設備投資は収益性向上につながります。

✓ポイント:ペット可物件では、家賃の大幅な上乗せよりも、敷金の追加設定が現実的で効果的な収益向上策です。付加価値設備の導入は、家賃設定の根拠となり、入居者満足度も高めることができます。市場相場を踏まえた適切な価格設定が、稼働率を維持しつつ収益を最大化する鍵となります。

 

修繕費の検証:懸念されるコスト増はどれくらいか

ペット可物件における最大の懸念事項は、原状回復費用の増加です。投資家として、このコストを正確に把握し、適切にリスクヘッジすることが収益性を左右します。

原状回復費用の実態

ペット飼育による原状回復費用は、通常物件と比較して増加する傾向があります。ただし、費用負担の考え方は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて判断されます。

【原状回復の基本原則】 - 通常損耗:経年劣化や通常使用による損耗は貸主負担が原則 - 特別損耗:入居者の故意・過失、善管注意義務違反による損耗は借主負担 - ペット飼育の場合:特約が明確で、金額が相当性の範囲内であれば、ペットによる損耗を借主負担とすることが可能

【ペットによる主な損傷内容】 - 壁・建具:引っかき傷、噛み跡、体当たりによる凹み - 床:爪による傷、排泄物の染み、フローリングの変色 - 臭い:体臭、排泄臭が染みつき、通常清掃では除去困難な場合 - その他:ノミ・ダニ対策のための専門クリーニングが必要な場合

【費用の考え方】

原状回復費用は、地域相場や工事仕様によって大きく変動します。そのため、一律の金額を断定することは適切ではありません。重要なのは以下の対応です。

• 退去前の室内点検で損傷箇所を確認
• 複数の施工業者から見積もりを取得
• ガイドラインに基づいた適正な負担区分の判断
• 特約で定めた範囲内での費用請求

一般的な傾向として、ペット可物件の原状回復費用は通常物件より高額になるケースが多いものの、適切な特約設定と敷金の活用により、オーナーのリスクを軽減することが可能です。

リスクヘッジの方法

修繕費増加のリスクは、契約内容の工夫と保険の活用によって軽減できます。ただし、特約の有効性は条項の明確性や金額の相当性に依存します。

【契約書での対策】 - ペット飼育特約の明記 - 飼育可能なペットの種類・頭数の制限(小型犬1頭まで、猫2匹まで等) - 損傷箇所の修繕責任を入居者負担とする条項(具体的な範囲を明示) - 退去時の専門クリーニング費用の明示

• 追加敷金と償却規定

    o 追加敷金・償却特約は実務で広く用いられる手法
    o ただし、有効性は「条項の明確性」「金額の相当性」「説明の十分性」に依存
    o 過度に高額な設定や一方的な内容は、無効とされる可能性がある
    o 公益財団法人不動産流通推進センターの判例解説では、適切に設定された特約は有効とされる事例が多い

【保険の活用】 - 入居者向けペット飼育特約付き火災保険 - ペットによる損傷を補償範囲に含む - 第三者への損害賠償もカバー

• オーナー向けの家賃保証保険

    o 原状回復費用の未払いリスクをカバー

【入居審査の厳格化】 - ペットの種類・大きさ・頭数の確認 - しつけ状況やワクチン接種証明の提出要求 - 過去の賃貸履歴とトラブルの有無の確認
適切な対策により、修繕費増加のリスクは相当程度コントロール可能です。特に入居時の契約内容の明確化は、退去時のトラブル防止に直結します。

✓ポイント:ペット可物件の修繕費は通常物件より増加する傾向がありますが、国交省ガイドラインに基づく適切な特約設定と追加敷金の活用により、リスクを管理できます。契約内容の明確化と入居審査の厳格化により、予防的な対策を講じることが重要です。

参考: 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)|国土交通省

 

ケーススタディ:シミュレーションで見る収益性の違い

実際の数値を用いたシミュレーションにより、ペット可物件とペット不可物件の収益性の差を検証します。ただし、以下のシミュレーションは一定の前提条件に基づく試算であり、実際の収益は物件の立地、管理状況、市場環境により大きく変動します。

前提条件

【物件概要】 - 物件種別:1LDK(40㎡) - 立地:広島市内の駅徒歩10分エリア - 物件価格:1,500万円 - 運用期間:5年間 - ※賃料水準は当該エリアの実勢相場を参考に設定

シミュレーションの考え方

【稼働率の違い】 - 空室率の直接比較データは限定的なため、LIFULL HOME’Sの調査データ「ペット可物件の掲載期間が平均16.6日短い」を基に稼働改善を推定 - 掲載期間の短縮=募集から成約までの期間短縮として、年間の稼働日数に反映

【修繕費の違い】 - ガイドラインに基づく原状回復の原則を踏まえ、ペット特約と敷金償却により一定のコストをカバー - 実際の費用は見積比較により確定すべきだが、シミュレーションでは一定の増加を仮定

パターンA:ペット不可物件

【収益構造】 - 月額家賃:7万円 - 敷金・礼金:各1ヶ月分 - 入居者募集期間:平均40日と仮定 - 年間稼働率:約89%(年間325日稼働) - 年間家賃収入:7万円 × (325/365) × 12ヶ月 ≒ 74.8万円 - 原状回復費用(5年で1回退去と仮定):実勢相場に基づき設定

【5年間の収支概算】 - 総家賃収入:74.8万円 × 5年 = 374万円 - 原状回復費用:見積に基づく金額 - 実質収入:(個別試算が必要)

パターンB:ペット可物件

【収益構造】 - 月額家賃:7万円(据え置き、または市場相場に応じて設定) - 敷金・礼金:敷金3ヶ月分(うち1ヶ月償却)、礼金1ヶ月分 - 入居者募集期間:平均23.4日と仮定(ペット不可より16.6日短縮) - 年間稼働率:約94%(年間342日稼働) - 年間家賃収入:7万円 × (342/365) × 12ヶ月 ≒ 78.7万円 - 敷金償却分(入居時):7万円 - 原状回復費用(5年で1回退去と仮定):ペット不可より増加を見込む

【5年間の収支概算】 - 総家賃収入:78.7万円 × 5年 = 393.5万円 - 敷金償却分:7万円 - 原状回復費用:見積に基づく金額(ペット不可より増加) - 実質収入:(個別試算が必要)

評価のポイント

このシミュレーションから、以下のポイントが浮かび上がります。

【ペット可物件の優位性】 - 掲載期間の短縮により、年間稼働率が約5%改善(89%→94%) - 5年間で約19.5万円の家賃収入増加(稼働率改善効果) - 敷金償却により7万円の追加収入

【考慮すべきリスク】 - 原状回復費用の増加(金額は物件状況により変動) - 適切な特約設定がない場合、修繕費が想定を超える可能性 - 周辺の競合状況により、優位性が変化する可能性

【投資判断のために】 - 実際の投資判断では、対象エリアの実勢賃料データ(ポータルサイトの募集事例等)を収集 - 複数の施工業者から原状回復の見積を取得 - 敷金・特約の設定が適切かを専門家に確認 - 個別物件ごとの詳細な収支シミュレーションを実施

✓ポイント:掲載期間の短縮データに基づくと、ペット可物件は稼働率の改善により収益性向上の可能性があります。ただし、このシミュレーションは一定の前提に基づく試算であり、実際の収益は個別物件の条件、エリアの需給バランス、管理体制に大きく依存します。投資判断では、対象物件における詳細な市場調査と収支シミュレーションが不可欠です。

 

まとめ:成功するペット可物件運用のポイント

本記事では、ペット可物件の収益性を「空室率」「賃料」「修繕費」の3つの観点から検証してきました。

【検証結果の総括】

• 空室率・稼働率

    o ペット可物件は掲載期間が平均16.6日短く、成約スピードが速い傾向
    o 入居期間が長期化しやすいという実務的観測があり、稼働率改善の可能性
    o ※直接的な空室率比較データは限定的だが、複数の指標が優位性を示唆

• 賃料

    o ペット可物件の平均賃料はペット不可より高く、成約も早い傾向
    o 家賃の大幅な上乗せよりも、敷金・礼金での調整が現実的
    o 付加価値設備により差別化と収益向上が可能

• 修繕費

    o 原状回復費用は通常物件より増加する傾向
    o 国交省ガイドラインに基づく適切な特約と敷金活用により、リスクヘッジが可能
    o 契約内容の明確化と入居審査の厳格化が重要

これらを総合すると、適切な運用・管理を行い、エリアの需給バランスが有利に働く場合、ペット可物件は収益性が高まる可能性があるといえます。ただし、この結論は一定の前提条件に基づくものであり、個別物件ごとの詳細な検証が不可欠です。

【成功のための実践ポイント】

• ターゲットの明確化

    o 飼育可能なペットの種類を明確に設定(小型犬限定、猫のみ可など)
    o 大型犬や多頭飼育を認める場合は、より厳格な対策が必要

• 契約内容の厳格化

    o ペット飼育特約の詳細な規定(飼育ルール、損傷時の責任範囲)
    o 追加敷金の設定と償却条項の明記
    o 定期的な室内確認の実施条項

• 入居者審査の徹底

    o ペットのしつけ状況の確認
    o 過去の賃貸履歴とトラブルの有無
    o 収入の安定性と支払い能力

• 定期メンテナンスの実施

    o 半年〜1年ごとの室内点検
    o 早期発見・早期対応による被害拡大の防止
    o 入居者とのコミュニケーション維持

広島市で不動産投資を成功させるためには、自身の所有物件や検討物件のエリアにおける詳細な市場調査が不可欠です。株式会社ASULANDでは、エリア特性を踏まえたペット可物件の運用サポートを提供しています。

ペット可物件への転換や新規購入を検討される際は、競合状況、入居者ニーズ、管理体制を総合的に評価し、戦略的な投資判断を行いましょう。適切な準備と運用により、ペット可物件は安定した収益をもたらす優良な投資対象となります。

監修者情報 監修者情報 株式会社ASULAND
代表取締役 伊茂治 直毅
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